風の名前の連番地名!

この連番地名は、誰も気づいていない。
現在の言葉に残っていない言葉の地名である。

だから、言葉の意味も分らないし、従って、各地で伝承されている地名伝承も全て嘘っぱち・・。しかし、地名を聞けば「ああ」と思い当たる方もあるだろう。

その地名には、下記のようなものがある。
古瀬(こぜ)、小瀬(こぜ)
奈瀬(なぜ)、名瀬(なぜ)
馬瀬(まぜ)、間瀬(まぜ)・・などの地名である。

これが何故、風と関係しているのか・・、とても結びつかないと思う。
これらの漢字は全て「当て字」だからだ。
つまり、「こぜ・なぜ・まぜ」と発音していたものにそれぞれの地域でそれぞれの漢字が当てられた。それによって、まったく関連のない言葉・地名となって伝承された結果なのである。

この中のひとつが映画のタイトルになっている。
二〇〇五年・蟹江敬三主演の映画のタイトルは「MAZE マゼ」。
高知県香美郡夜須町手結港を中心に描かれた漁師の物語である。

マゼとは「南風」の意味で、高知県の田野浦・室戸・高知などの漁師の間で現在も使われているのだ。高知市民図書館に拠れば、マゼとは南から吹く温暖なやわらかい風で、この言葉は四国・九州に広く分布している、としている。

さらに・・、
アナゼは「北西の風」の意味で、室戸などで使われている。
ヤマゼは「南西の風」の意味で大月で、さらに、ヤマセと転訛して室戸では「北北西の風」になり、ヤマジと転訛して宿毛では「北東の風」になっている。
マゼは、マジ(南風)と転訛して土佐清水・宿毛市弘瀬に残り、さらに、アマジラと転訛して、大方町田野浦で春の西南風を指す言葉として残っている。
つまり、これらは地域の方言として現在に伝わっていたのだ。

この高知・宮崎に残っているマゼ(南風)・アナゼ(北西の風)・ヤマゼ(南西の風)には抜け落ちがあった。この言葉には、東西南北八方位すべての言葉が存在していたのである。
それを記しているのが「竹内文献」である。

それは竹内文献・不合朝三代の項に記されている。
コゼ・・・・・東風  イコゼ・・・・東南の間の風 
マゼ・・・・・南風  ヤマゼ・・・・南西間の風
ナゼ・・・・・西風  アナゼ・・・・西北間の風 
ヨゼ・・・・・北風  コヨゼ・・・・北東間の風

兵庫県市川町にこの風地名が残っている。
ただし、市川町での地名は山間部の伝承地名で地図には載っていない。
現在、小字地名は正確に管理されていない市町村もあり、地元でも確認できない場所もある。
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※アマジは、マゼ(南風)がマジと転訛し、さらに、アマジと転訛したと思われる。
(上記、高知の風地名を参照)
この地名配置を見れば、この地名が付いた時の中心が何処にあったのかが推定できるだろう。


日本の各所にこの風地名が存在していたのだ。
そして、漢字の伝来でこれらの発音に漢字が当てられていった。
それが残っているのが下記の地域である。

●古瀬(こぜ)、
兵庫県姫路市夢前町古瀬畑。
●小瀬(こぜ)
新潟県新潟市西区小瀬。 
●コゼ
愛知県豊田市松平志賀町コゼ。・・・ここでは、発音のまま残っている。
●古世(こぜ)
京都府亀岡市北古世町

●奈瀬(なぜ)、
京都府綾部市戸奈瀬町。
●名瀬(なぜ)
神奈川県横浜市戸塚区名瀬町。 
鹿児島県奄美市名瀬佐大熊町(旧・鹿児島県名瀬市)。
鹿児島県奄美市名瀬(旧・鹿児島県名瀬市)。
兵庫県朝来市山東町矢名瀬町。
三重県松阪市松名瀬町。

●馬瀬(まぜ)、
岐阜県下呂市馬瀬。 
大阪府泉北郡忠岡町馬瀬。 
兵庫県加東市馬瀬。
三重県伊勢市馬瀬町。
●間瀬(まぜ)
長崎県西海市大島町間瀬。 
埼玉県秩父郡長瀞町間瀬峠。

●余瀬(よぜ)
栃木県大田原市余瀬
宮崎県日向市余瀬
岡山県苫田郡鏡野町奥津川西・余瀬ヶ城跡
・ヨゼがセヨに変化したものか?
鹿児島県南九州市知覧町瀬世

●山瀬(やませ)
秋田県大館市山瀬・山瀬ダム(やませだむ)
静岡県富士市入山瀬(いりやませ)
静岡県掛川市入山瀬(いりやませ)
山口県下関市西山瀬(にしやませ)・東山瀬(ひがしやませ)
山口県美祢市奥山瀬(おくやませ)・里山瀬(さとやませ)
高知県高岡郡佐川町山瀬(やませ) 
高知県高岡郡四万十町山瀬(やませ)
福岡県嘉麻市山瀬川(やませがわ)
佐賀県唐津市下山瀬(しもやませ)
佐賀県唐津市上山瀬(かみやませ)
佐賀県唐津市浜玉町山瀬(やませ)
長崎県五島市犬山瀬(いぬやまぜ)
長崎県西海市勘山瀬(かんざんせ)
熊本県下益城郡美里町山瀬(やませ)
宮崎県日南市戸高山瀬(とだかやませ)・星倉山瀬(ほしくらやませ)
宮崎県延岡市山瀬(やませ)
宮崎県東臼杵郡諸塚村山瀬(やませ)山瀬橋(やませばし)
宮崎県東臼杵郡美郷町山瀬(やませ)山瀬川(やませがわ)
●山背(やませ)
石川県加賀市・山代温泉・山背台(ヤマセダイ)
岡山県津山市・山背(やばせ)

京都の旧国名は山城国だが、山背国とも呼ばれている。
当時の都だった奈良から見て、山の背にあったからだと云われているが・・、
これが漢字以前の地名なら、「ヤマゼ」の国、つまり、南西の国と云うことになる。
どこから見て南西だったのか。
京都の北東にあって古代の中心地らしい所は、「飛騨」なのだがー。

●穴瀬(あなぜ)
愛知県豊川市平井町穴瀬
愛知県宝飯郡小坂井町平井穴瀬
大分県 豊後高田市穴瀬横穴古墳群
この他に、
●アナセ(北西の風)に「阿成」を充てた兵庫県姫路市飾磨区阿成、などがある。

上記地名は多くが広域地名になっているが、元は小字地名だったと思う。
その付近の小字地名に関連する風地名が残っている可能性は十分ある。

関連リンク⇒竹内文献の検証
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ここで上げている地名は広域地名です。
大字・小字での地名が残っている所が多くあるのではないかと思います。お心当たりの方はご一報ください。




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by nami3291 | 2010-04-01 15:49 | ●奇妙な連番地名?